睫毛が染まった頃に
橙の光、行きもしないカラオケの練習、ボクが住む町にすら雪が降った朝、震える右手、毛玉のニット、あまい電話、味噌ラーメン、延長したさよならはやってきて、あなたの〈代え〉は既に居るからと言い聞かせた。
それでもボクはあなたを手放せない。
赤紫を宿す時、瞳に色香が落ちる。
──出逢ってしまった、愛してしまった。
他の誰でもないボクのために向かう鏡に映るは6時間睡眠の〈生もの〉だった。
失ったあなたを探しに出掛けて、結局はSNSであなたの行方を知るなんて皮肉で残酷な話だ。
「どうしても別れなくちゃいけないの?」
心のどこかでまだ縋り付く、弱くて醜いボクをどうか許して。
明日からは違う色に染まれば良いと割り切れそうでできない、ちなみに、これは廃盤となったマスカラの話である。

