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なぜ人は『量子』にだまされるのか~スピリチュアル量子力学の誤用が広がる理由と危険性

こんにちは!
かがみあやかと申します。

私はInstagramやnoteで物理学系クリエイターとして
物理学の発信をしています。

北海道大学理学部物理学科を卒業し、修士課程(物理学専攻)を修了。
その後は企業で研究開発職として働いていました。

Instagramを中心に、物理学の用語(電磁波や放射線、量子力学など)に関する誤解が多いことを感じ
少しでも正しい知識を知ってもらいたいという気持ちで発信活動をしています。


さて、先ほども少し触れましたが
最近SNSを中心に「量子力学」という言葉がよく見られるようになりました。
書店に足を運ぶと、自己啓発やスピリチュアルコーナーにも「量子力学」の文字が躍る本がずらりとならんでいます。

しかし、こういったところで見かける量子力学は
本来物理学で研究されている量子力学とはまったく中身が異なるものです。

よくよく見てみると
「引き寄せの法則は量子力学で証明されている」
「量子力学を使えば思考が現実化して思い通りに生きられる」
「体の波動を整える量子ヒーリング」
「量子を体に入れたら健康になれるし美容にも良い」
といった、スピリチュアル的な怪しい文言が並んでいます。

これらは物理学の世界で扱っている量子力学から逸脱し
量子力学を誤解・誤用したまま、
スピリチュアルや美容ビジネスの都合の良いように語られたものです。

科学的根拠はないですし、
それどころか、用語や効果も捏造されたものが数多く見られます。

私はこのような使われ方をしている量子力学を
物理学で議論されている量子力学と区別するために
「スピリチュアル量子力学」と呼んでいます。


この記事では、
「スピリチュアル量子力学」が勢力を伸ばしつつあるこの世の中で
正しく量子力学を理解し、科学的根拠をもって正しく情報を判断できるようになる考え方をお伝えします。

ビジネス分野でも
スピリチュアル量子力学の自己啓発セミナーが
散見されるようになりました。

間違った量子力学を信じ
科学的根拠のない話題に何十万円と払う前に、
この記事を一読していただきたいです。

また社会人として科学技術を支える「量子力学」の
正しい知識を身につけておくのはとても大事なことです。
むしろ、これだけ根拠のない「量子力学」の話が独り歩きしているネット社会のなかを生きるには最低限の教養であると強調したいです。

ぜひ最後まで読んでいただけると幸甚です。

「量子力学」がスピリチュアル界隈で流行る理由


量子力学がスピリチュアル的な文脈で語られるようになったのは
言葉からの印象以上に歴史的な流れがあります。

それは1970年代のアメリカまでさかのぼります。

ニューエイジ思想

当時のアメリカで流行ったのが「ニューエイジ思想」です。
科学万能主義への反発やカウンターカルチャーから生まれたといわれる
宗教的な自己意識運動で、
個人の意識や精神性、霊的なもの重視する思想です。

ニューエイジ思想やニューエイジ運動のなかで
科学と精神世界を橋渡しをしようという試みも多く行われました。
そのなかの一つに、量子神秘主義(Quantum mysticism)という思想があります。
精神世界や神秘的な現象を量子力学の考え方や解釈と関連付けようという試みです。

でも、これはあくまでも「試み」であり、そういう証明や研究成果があったわけではありません。
量子神秘主義は多くの物理学者から「疑似科学」であると否定されています。

量子力学が精神世界や霊、人間の意識と関連するのではないか?という議論自体は、量子力学が出てきたころからあって、物理学者たちのなかでもいろいろな考察がありましたが、
結局は量子神秘主義的な考え方は否定されています。

アインシュタインも量子神秘主義について、
「物理学者でそれを信じる者はいない。そうでなければ物理学者ではない」と述べたそうです。

しかし、ニューエイジ思想の流れで
量子力学と精神世界を関連付ける書籍が数多く生まれました。
(学術的な本ではないので、科学的根拠はありません)


これにより量子力学は、
「私たちの常識を超えた、不思議で目に見えない法則」という
イメージやメッセージ性をもち
科学的なお墨付きのあるスピリチュアルの考え方として、
ヒーリングや自己啓発の文脈に拡張されていきます。

量子力学は本来の科学的な文脈から離れ、
「なんだかすごそう」「意識が世界を変えるっぽい」という、
スピリチュアルマーケティングの金看板となっていったのです。

マーケティングに利用される量子力学

「量子」という言葉のもつ科学的な威厳、
専門的で難解なイメージもブームの一因でしょう。

難しすぎて内容を理解できないからこそ、
逆に「よくわからないけどすごそう」と思わせてしまう効果があるからです。
これは、「ホメオパシー」「水素水」「マイナスイオン」など、
他の擬似科学用語にも見られる特徴です。

近年ではSNSの発展から、だれでも気軽に発信ができるようになりました。
たくさんのフォロワーがいるインフルエンサーも
スピリチュアル量子力学の発信をして、支持を集めています。

彼らが売っている高額の「量子力学講座」は
物理学のものとは全く違うもので
マインドやスピリチュアル、潜在意識を扱ったものが多いです。

残念ながらスピリチュアル量子力学がこういったSNSの世界では
嘘から出た実のような感じに市民権を得ています。

スピリチュアル量子力学の範囲はとても広く、
毎日、毎日、よくこんなこと思いつくなというような
聞いたこともない「量子力学っぽい言葉」が生み出されています。

それはまるで伝言ゲームのように
科学的根拠のない量子力学の発信が生まれ
それを見たほかの誰かの手によって
それっぽいアイディアや言葉が追加されて
再生産されているのです。

本来の「量子力学」の意味を分かっていないからこそ
どんな概念も自由にアレンジしてしまうのでしょう。
こうして、量子力学という言葉がスピリチュアルの世界でどんどん独り歩きしているような気がしてなりません。

こうした現象の背後には、「科学リテラシー」の不足が潜んでいます。
「量子力学を理解している人」が社会の中で少ないからこそ、
量子力学はなんにでも使える魔法のワードとして機能してしまっているのです。


量子力学の名前を使ったビジネスの中身


今や「量子」「量子力学」という言葉は、
科学の一分野の名称である以上に、
万能感のあるラベルとして消費されています。

「量子◯◯」や「波動◯◯」といった言葉が冠された製品やサービスは、SNSや通販サイトを中心に多く見られます。
特に健康や美容、自己啓発といった分野において一定の市場を形成しているように見えます。
(科学的根拠が不明瞭であっても気にする人が少ない分野では、めざましい躍進をしているように感じます)


私が見てきた範囲で、量子と絡めた怪しいビジネスは
こんな感じです。

健康ビジネス

波動医療
身体の周波数を調整して病気を治したり体調を整えると言っている自由診療。
周波数が何の周波数なのかわからないですし、それを調整するというのも、物理的にどうやるのかがあいまいです。
「量子力学的な考えに基づいてエネルギーを整える」「量子力学的に周波数同士が共鳴共振する」と謳っている波動医療のサイトも見かけますが、どのへんが量子力学的なのかが謎です。

そもそも、量子力学的に原子のエネルギーを変えたり、共振させたりしたら、原子が崩壊して放射線が出てきたり爆発したりすると思うんですけどね…

量子を利用した整体
量子の力で特別な効果を与えるというような整体も出てきています。
整体院は、周波数や波動の話が好きな院もあるので親和性が高いのかなと思います。

また、量子アスリートトレーニングというようなサービスもあり、「周波数を整える特殊な水」をかけると筋肉に効果があるとか。

量子加工
「量子加工」という特別な処理をした水を飲むと不調が治るという個人ビジネスが生まれているようです。
腰に量子を入れると腰痛が一発で治るとか。

量子ってそういうんじゃないんですけどね…(後述します)

遠隔量子ヒーリング
ZOOMなどで話をしながら遠隔でエネルギーを送って不調を治すというビジネスです。それが量子の力に基づいたものだから「効果がある」とのことです。
カウンセリングの効果はあると思いますが、遠隔で不調を治すエネルギーを送るのは無理があるでしょう。
それを量子のおかげとするのも都合が良すぎます。

ZOOMミーティングで送れるのは映像と音声だけです。


美容ビジネス

量子ドライヤー
量子レベルで髪に働きかけて美髪をかなえるドライヤーだそうです。
高いものでは16万円くらいします。

でも、ドライヤーの効果に量子力学を謳うのは怪しいと思います。

その理由は、この記事にて後述するんですけど
量子力学の理論が適用できる範囲ってすっごくすっごく小さくて狭いので
人間の体(それが細胞レベルであっても)には大きすぎてあてはまらないのですよ。

量子水
特定の活水器を通すことで、水の分子構造を変化させ、活性化された状態になった水のことだそうです。
飲んだり洗ったりすると美しく健康になれるとか。
同じような系統で、素粒水、波動水というものがあります。
おそらく水素水はこれらの水の走りです。

水の分子構造が変わってしまったら、もうそれは水ではないですよね。

テラヘルツ鉱石による量子効果
工業用シリコンウエハーの端材を集めて固めたケイ素を「テラヘルツ鉱石」という名前を付けて売っているビジネスがあります。
このテラヘルツ鉱石から「テラヘルツ波」が放出されていて、この電磁波が美容に良いという触れ込みがあります。
その文脈で「量子効果で美肌」と謳う商品が多い印象です。
テラヘルツ鉱石は「ケイ素の塊」なので、テラヘルツ帯の電磁波が出ていることはありえません。

そもそも、電源や化学反応なしで高エネルギーの電磁波が出てくるという状況がありえません。

テラヘルツ量子波という謎の言葉も作られていますが、このような物理用語はありません。

量子波エステ
先述のテラヘルツ量子波を使うとされているエステです。

量子波とは、特定の周波数を持つ電磁波の一種で、生体組織に作用して様々な効果をもたらすとされています。量子波エステでは、この量子波を肌に照射することで、肌のターンオーバー促進、血行促進、コラーゲン生成促進、リフトアップ、肌の引き締めなどの効果が期待できます。

GoogleのAI要約より

テラヘルツ量子波を放出するとされる、
肌に押し当てるタイプのマッサージ器(?)がネット上で売られていますが
電源不要の次世代美顔器と書かれていました。
電源がなくてどうやって高出力の電磁波を出すのか、謎です…


自己啓発・教育ビジネス

「量子力学的」自己啓発セミナー
「量子で思考は現実化する」
「量子力学で思い通りに生きる」
「量子力学的引き寄せの法則」

こんな感じの文言を並べた自己啓発のセミナーが増えています。
「自己啓発」の部分は良いと思うのですが
それを量子力学と結び付けるのは変です。

量子力学は引き寄せの法則の裏付けにはなりませんし
量子で思考が現実化するという証明はありません。

時には何百万円とする「量子力学セミナー」もありますが、
見る限り、中身の量子力学は疑似科学です。

高額を払って虚偽の学問を学ぶのはとても寂しいと感じます。

本当に量子力学を学びたかったら、大学に行った方が安いですし、
信頼できる知識と技術開発職に就けるだけの力が身に着くのでおすすめです。


子供の学力を上げる遠隔量子セラピー
これはフォロワーさんに教えてもらってびっくりしたのですが
ZOOMでお話をして、子供の学力を上げるための量子エネルギーを送るそうです。
一回6万円だそうです。
それをやるならば、お子さんと量子力学について調べたほうが学力は上がりそうだなと思いました。


などなど、いろいろなビジネスや商材を紹介しましたが
これらに共通するものは

・科学的根拠がない
・物理学の量子力学とは違う理論で話が閉じてしまっている
・値段が高額

というところです。
こういう概念や世界観が好きであれば、購入しても良いかと思いますが
効果を期待するのであれば、もっと他のお金の使い方を考えたほうが良いと思います。

「本当の」量子力学とは何か


ここまで書いてきたように、
量子力学という言葉は、スピリチュアルや自己啓発の世界でも頻繁に登場するようになりました。
しかし、その多くは科学的な意味とはかけ離れた内容で語られており、言葉だけが一人歩きしています。

この章では、そうした誤解を解きほぐすために、
「本当の量子力学とは何か?」を説明します。

量子力学とは

量子力学とは
「ミクロな世界の物質のふるまいを解き明かす学問」です。

ミクロな世界というのは、
原子や素粒子といった、物体を形作る小さな小さな粒子の大きさレベルの世界です。

ミクロな世界の反対は「マクロな世界」で
これは人間の細胞の大きさから宇宙まで、幅広い大きさを網羅しています。

マクロな世界では「古典力学」という分野の学問を使って
物体の運動や存在を議論します。
(古典力学は、ニュートン力学とも呼ばれ、物理ではだれでも習うようなジャンルです。物体の落下やてこの原理など、運動や力に関するあらゆる現象を学びます)

しかし、ミクロな世界では古典力学が適用できません。
数々の実験や計算によって
「ミクロな世界では古典力学が使えない」ということがわかりました。
(二重スリット実験や光電効果、原子核モデルなど)

そこで、原子や素粒子などのミクロな世界の物質のふるまいを
理解するために生まれた学問が「量子力学」なのです。

量子とはなにか

では量子力学の「量子」とは何か。

今ではこの単語が一人歩きしすぎて、
本来の意味を知らないで使っている人が多い気がします。

量子とは
「とびとびの値しか取らない最小単位の物理量」
のことです。

「子」という漢字がついているので
電子とか原子といった粒子の仲間だと勘違いしやすいのですが
粒子の仲間ではありません。

そういう粒子があるのではなくて、
「最小単位のまとまり」という概念を量子と呼んでいます。

スピリチュアル量子力学での間違った例として
「量子が見える」
「量子を体に入れる」
「量子を飛ばす」
といった使い方をする発信も多く見られます。
全部間違いです。

量子は物質のことではないので、見えることも体に入れることもできません。飛ばすというのも、よくわかりません。
物理量なので、どちらかと言えば「長さ」とか「重さ」といった
大きさを表す言葉の方が近いイメージです。

粒子と波の二重性

量子力学での代表的な現象として
「粒子と波の二重性」というものがあります。

これは、ミクロな物質は
粒子としての性質と波としての性質の両方を持っている
ということです。

例えば、
光は「光子(フォトン)」という粒子であることが
分かっています。

しかし、一方で
光は電磁波の一種であることも有名です。

光は粒子であり、同時に波でもある。
これはどちらが本質かというより、
「状況によって観測されるふるまいが異なる」というのが
量子力学での考え方です。

この「粒子でも波でもある」という捉え方が
波動を大事にするスピリチュアル層に受け入れられたのかもしれません。
(例えば、この世のすべてのものは波でできていると量子力学で言っている!というような言われ方をします)
しかし、そういった方々は波としての性質にしか着目しておらず
粒子としての性質についてはなおざりにしている印象です。

量子力学では、二面性があることが重要なので
波しか語らないのは違和感を覚えます。

(先述の造語で、量子波はあるのに量子粒子という言葉がみられないの。これも、都合の良い部分だけ切り取られている感じがします。)


「観測すると現実が変わる」の本来の解釈

量子力学の世界では、物質の存在自体が不確定(決まっていない状態)です。
そして、存在場所は確率で表されます。

私たち人間レベルの世界(古典力学のマクロな世界)では、
物体がある場所は住所や座標で決まります。
どこにいるの?と聞かれたら、住所やgoogle mapの場所を送ったら
すぐにどこにいるのかわかりますよね。

でも量子力学のミクロな世界ではそれができません。
物質がある場所はすべて「だいたいここら辺」という大まかな場所と確率であらわされます。
ここからここまでのどこかにいる
というような状態です。

物質を観測するまでは複数の可能性が重なり合った状態(重ね合わせ)にあり、観測した瞬間にその中のひとつに場所が「決まる」のです。

このように、量子力学では
「観測すると物質の状態が決まる」と言います。


考え方として近いのは、
ランダムでいろんな穴から人形が出てくるモグラたたきゲームです。
どの穴から出てくるのかはわかりませんが、
どこかの穴から人形が出てきたときに写真を取ったら(観測)
その人形がその時にいた場所がどこなのかがわかります。


スピリチュアル界隈では量子力学の引用として「観測すると現実が変わる、だから意識によって現実が変わる」と語られますが、これは誤解です。
先ほども書いたように「観測することで確率的な状態がひとつに決まる」という話です。

これは「意識が現実を作る」というような精神論ではなく、
量子力学が描く物理現象のしくみを表現しているというだけのことです。

量子力学の観測問題を、
人間の「意識」や「願望」と結びつける説は根強く存在しますが、
これは科学的根拠に基づいた話ではありません。

観測とは、光を当てたり機械で測定したりという
「物理的な相互作用」であり、心のあり方ではありません。

量子力学を知れば知るほど、それは精神論ではなく、
現象を理解するための「道具」であることがわかるはずです。

量子力学はファンタジーではなく、テクノロジー

不思議なイメージばかりが先行しがちな量子力学ですが、
これはテクノロジーとして非常に大事なもので
私たちの日常にも確実に役立っています。

たとえば
・半導体(スマートフォンやパソコン)
→ 電子の振る舞いを量子力学で理解することで、実現した技術。現代の情報社会の土台です。

・LED
→ 電子がエネルギー準位を飛び移るときに光を出す現象(発光ダイオード)を使っています。

・量子コンピュータ(研究・実用化が進行中)
→ 通常のビットではなく量子ビット(Qubit)を使うことで、計算能力が大幅にアップ。

・MRI(磁気共鳴画像)
→ 核スピンという量子現象を利用し、人体内部の様子を非破壊で見ることができます。医療の現場には欠かせません。


今では化学の基礎中の基礎である「周期表」も
量子力学の発展によって解明が進みました。

量子力学は、決して「引き寄せ」や「波動を整える」といった
不確かな話ではなくテクノロジーの発展に不可欠な学問なのです。

今、あなたが便利にスマホでこの記事が読めているのも
量子力学による技術のおかげなんですよー!

間違った量子力学が流行る問題点と懸念

ここまで、いろいろな「スピリチュアル量子力学」のビジネスや発信の紹介と本来の量子力学の説明をしてきました。

私がこういった文章を書き、
量子力学に対するスピリチュアル的な誤解を解きたいと
頑張っているのには理由があります。

こういった「誤解の拡散」は、社会の知と技術の発展にとってブレーキになると感じているからです。


科学への誤解がイノベーションを遠ざける

量子力学は、テクノロジーの根幹にある重要な理論です。

ところが、おかしな量子力学の商品やビジネスが蔓延すると、
本来の量子力学や量子技術に対する社会の理解や信頼が曇ってしまいます

親がスピリチュアル量子力学にハマって波動調整器などに数百万円を使って困っていると相談しにきた高校生のフォロワーさんは
「最近は量子力学という言葉を聞くだけでも不信感で気持ち悪くなってしまうようになった」
と言っていました。

量子力学が、このようなカルト商法の代名詞になってしまっている状況がとても悲しいです。


他のフォロワーさんからも
「量子力学と言えばエステや引き寄せ」
「陰謀論が好きな人が量子や波動の話をよくしているイメージ」
というようなことを聞いて
残念な気持ちになっています。

スピリチュアル量子力学が市民権を得ていくと
今後ますますスピリチュアルや陰謀論の文脈で量子力学が使われることとなり、「量子力学って怪しそう」というイメージがついていくことも予想され
それをとても懸念しています。

そうすると、量子力学を学んでいる人と
それをよくわからずに利用している人と
怪しんでいる人の分断が進み

信頼感の無さから
科学技術の発展を支持する力が弱まってしまう可能性もあります。

教育への悪影響とリテラシーの低下

スピリチュアル量子力学のような「それっぽい説明」は、
科学に興味を持つ子どもや学生にも影響を及ぼします。

こんなことが起こる可能性もあります

・子供が「引き寄せ=量子の力」と信じてしまう
・学生が量子力学に対して「胡散臭い」と思う
・大人でも「波動」と聞くだけで拒否反応を示す

正しい学びを避け、よくわからない怪しいものには蓋をし、
浅い理解で満足してしまう空気が生まれるのです。

これは「知る喜び」を奪い、科学への興味の芽を摘んでしまいます。

量子力学は200年の間に
世界の天才物理学者たちが研究と議論を重ねて作り上げた
知の集合体です。

人類の発展に寄与した宝です。

それが「なんだか怪しいもの」だったり
間違ったラベリングがされたまま広まってしまうのは
とても残念です。

そうではなく、将来に知のバトンをつなぐ立場として
正しく学び、理解していってほしいなと思います。

量子力学だけなく、医療も、今話題のAIも、裏には「正しい理論と技術」があります。
しかしそれらをブラックボックスとして捉え、
「なんとなくすごい」「波動がすごい」と誤解してしまうと、
技術と社会の距離が広がり、誤った選択をする人が増えるおそれがあります。

先述した
疑似科学製品に高額出費をしてしまう
というおそれもありますが、

もっと大変なのは
本当に必要な医療や技術に対して「不安」を感じて避ける
人が増えてしまうことだと思います。

「波動医療でガンが消える」という謳い文句に踊らされて
標準医療を受けずに命を落とす人もいます。


こういった、命や生活にかかわるレベルで
疑似科学を信じてしまう人は、何も特別な存在ではありません。

スピリチュアル量子力学などの「根拠のない科学的な話」を
よく調べず・よく考えずに信じてしまう流れの延長線上に
十分あり得る存在だと思います。



「正しい科学リテラシー」が人生を救う


「量子力学って、よくわからないけど、なにか引き寄せそう」
「波動って言われると、なんだか美容に良さそうな気がする」

――こうしたイメージ先行の科学用語が社会に溢れている今、
私たちが身につけておきたい力があります。

それが「科学リテラシー」です。

科学リテラシーとは

科学リテラシーとは、科学的な知識や考え方を理解し、
それを活用して、日常生活や社会における様々な問題に対して、
根拠に基づいて判断し、解決策を見つけ出す能力のことです。

GoogleのAI要約より

とはいっても、
専門的な知識をすべて理解する必要はありません。

知識よりも大事なのが、

「これは本当に正しいのだろうか?」
「この理論は科学的にどういう意味を持つのだろうか?」

といった問いを立てたり、調べたりする力です。

要は、自分で考えることが一番大事ということです。

スピリチュアル量子力学が流行るという現象の裏には、
「科学=信じるもの」だという誤解があるように思います。

けれど、科学は信仰ではなく、理解し、検証し、進歩させていく知の営みです。

科学を「信じる」のではなく「理解する」社会にしていくことが
これからの情報社会の課題だと感じています。

「明日からできる」3つのアップデート

では、どうすれば今日から少しずつ科学リテラシーを高められるのでしょうか。

何も難しいことを覚える必要はありません。以下の3つで充分です。

  1. 意味を調べる:「量子」や「波動」といった言葉を見たら、定義を調べてみる。今は便利なのでネットですぐに調べられます。その際は、学術的に信頼のおけるサイトで調べてください。

  2. 仮定してみる:「もし、これが成り立つと仮定したら?」と、想像力を働かせてみる。冷静に考えたらおかしな話はたくさんあります。

  3. 思考をシェアする:家族や友人と「これってどう思う?」と話してみる。自分以外の視点を得ると視野が広がり、判断材料も増えます。

これらを意識するだけで、「なんとなく信じてしまう」習慣から、「自分の頭で考える」習慣へと変わっていけます。


量子力学に対する科学リテラシーについては
この記事を読んでいただけたことで
少しは身につけられたと思います。(どうでしたか?)

量子力学に限らず、いろんな疑似科学の情報がネットや書籍の中で見られます。

少しでも、生きやすく、人生の選択肢を増やすために
「SNSの情報を鵜のみにする」という態度を卒業し、
「自分の頭で考えて、調べて、少しずつ理解していく」という
姿勢が大事です。

このような態度こそが、これからの時代を生きる私たちに求められています。




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