初心者に適した「Linux」ディストリビューションといえば、通常は「Linux Mint」や「Zorin OS」「elementaryOS」「Ubuntu」「Pop!_OS」などが候補に挙がる。パッケージマネージャーのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)フロントエンドを持たないような、無名のディストリビューションを検討することはまれだ。
しかし、変化の余地は常に残されている。「Zenclora」は、その有力な候補になり得る存在だ。
Zencloraとは
Zencloraは、「Debian」をベースとしたLinuxディストリビューションであり、カスタマイズされた「GNOME」デスクトップと「Zen」という独自のパッケージマネージャーを採用している。同時に「APT」パッケージマネージャーなど、標準的なDebianのパッケージも利用可能である。DebianとGNOMEの双方の安定性を備えており、信頼性の高いデスクトップOSに仕上がっている。
数あるLinuxディストリビューションの中で、Zencloraを際立たせている要因は何だろうか。主な特徴として、パフォーマンスに最適化されたカーネル、不要なソフトを一切排除した構成、KDE PlasmaとelementaryOSを融合させたようなGNOMEデスクトップが挙げられる。また、インストール用のコマンドが単純で分かりやすく、100%オープンソースである点も魅力だ。ターゲット層は、ゲーマーから一般ユーザーまで幅広く想定されている。
中でも特筆すべきは、Zenパッケージマネージャーだろう。これはコマンドラインインターフェース(CLI)のツールだが、敬遠する必要はない。例えば、インストール可能なパッケージを探すには、次のコマンドを入力する。
zen list
開発者は、現在も対応アプリを増やし続けている段階であり、現時点でのリストはやや限定的だ。もしゲーマーであれば、以下のコマンドで「gaming-pack」をインストールするだけで、プレイの準備が整う。
sudo zen install gaming-pack
このコマンドにより、「Lutris」「Wine」「Winetricks」「gamemode」「mangohud」「vulkan-tools」「mesa-drivers」「Spotify」などが一括で導入される。これは、実に見事な仕組みだ。この後、さらに以下のコマンドを実行すれば「Steam」のインストールも完了し、すぐにゲームを楽しめるようになる。
sudo zen install steam
なお、使用中に気づいた点として、Spotifyなど一部のアプリでは、デスクトップテーマやウィンドウの装飾が反映されないケースがあった。また、gaming-packをインストールすると、GNOME Softwareも導入されるようになっら。GUIからあらゆるソフトウェアをインストールできるGNOME Softwareが加わることで、Zencloraの完成度がより高まった印象を受ける。
筆者はさらに、以下のコマンドで「Flatpak」のサポートも追加した。
sudo zen install flatpak
FlatpakとGNOME Softwareがそろったことで、新規ユーザーにも自信を持ってこのディストリビューションを勧められると感じた。スキルに関わらず、誰もがZencloraを楽しめるよう、開発者にはこれら2つの要素を標準で搭載することを検討してほしい。なお、システムの更新も「sudo zen update」という簡潔なコマンドで実行可能である。

GNOMEが利用可能な状態になった(提供:Jack Wallen/ZDNET)


