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Grafana Labs、日本のオブザーバビリティ市場に本格参入--東京に日本法人を設立

寺島菜央 (編集部)

2025-11-14 07:00

 Grafana Labsは11月12日、東京に日本法人「グラファナラボ日本合同会社」を設立したと発表した。同日には設立イベントを開催し、Grafana Labs 共同創業者で最高経営責任者(CEO)のRaj Dutt(ラジ・ダット)氏、グラファナラボ カントリーマネージャーのAndy Schwabecher(アンディ・シュワベッカー)氏、副社長執行役員 GTM カントリーリーダーの加賀美正篤氏が登壇し、設立への意気込みや日本市場戦略を説明した。

左から、グラファナラボ 副社長執行役員 GTM カントリーリーダーの加賀美正篤氏、Grafana Labs CEOのRaj Dutt氏、グラファナラボ カントリーマネージャーのAndy Schwabecher氏
左から、グラファナラボ 副社長執行役員 GTM カントリーリーダーの加賀美正篤氏、Grafana Labs CEOのRaj Dutt氏、グラファナラボ カントリーマネージャーのAndy Schwabecher氏

 Grafana Labsは2014年に設立し、クラウド型オブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム「Grafana Labs」を中心にさまざまな機能を提供している。

 Dutt氏は「当初、私たちはオープンソースプロジェクトに注力しており、対価を求めずに無料のソフトウェアを作り出すことに集中していた。これは、ユーザーがダウンロードし、本番環境で、大規模に利用できるものだった。その目的は、純粋に価値創造にあった。その結果、私たちは世界中の開発者やサイト信頼性エンジニアリング(SRE)のエンジニアの心を掴み、サービスを商業化する前にブランドを築くことができた」とこれまでの歩みを振り返る。

Grafana Labsの概況
Grafana Labsの概況

 同社はGrafana Cloudを、“オープン”なオブザーバビリティプラットフォームとしており、この“オープン”には「オープンソース」「オープンエコシステム」「オープンスタンダード」「オープンカルチャー」という意味が込められているという。

 オープンソースは、同社の根幹を成すものだとDutt氏は語る。オープンソースソフトウェアを提供することで、オープンソースコミュニティーを構築し、開発者のマインドシェアを獲得して多くの価値創造を行うことができる。これにより、中小企業、大企業など幅広いユーザーがGrafanaのソフトウェアを活用し、何百万人もの開発者が同社にフィードバックを提供することで、ソフトウェアの改善につながる。これが同社の競争上の優位性だとしている。

 オープンエコシステムは、あらゆる場所からデータを取り込めるという考え方で、同社では顧客のデータをGrafana Cloudに保存することを要求しないアプローチを取る。オープンスタンダードは、「Prometheus」や「OpenTelemetry」といった業界標準の観点を積極的に推進し、リードする。最後に、オープンカルチャーでは、ソフトウェアのオープンソースだけでなく、ビジネスにおいても顧客に対して透明性を確保しているという。

Grafana Cloudが提供する価値 Grafana Cloudが提供する価値
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 Grafana Cloudは、開発者やSREエンジニアが直面するソフトウェアの複雑性を解決し、より迅速に、少ないリスクで、信頼性の高いソフトウェアを構築できるように支援する。多くの企業では、複数のオブザーバビリティツールを利用することで、ソフトウェアからインフラストラクチャー、ユーザー、ビジネスまでの全体像を本当の意味で把握することが難しくなっているという。Grafana Labsは、異なるオブザーバビリティツールを利用していてもデータを可視化できる、中立なベンダーとして機能する。

 また、オブザーバビリティやSaaSベンダーのビジネスモデルは従量課金制が多く、送信するデータが多いほどユーザーへの請求額は高くなる。ユーザーは、異なる場所にデータを保存、統合し、取り込みや複製のために料金を支払わなければならないことに不満を抱えている。Dutt氏は「SaaSやオブザーバビリティにおける通常の課金モデルは破綻していると認識している。私たちが『破綻している』と言うのは、データ量が爆発的に増加しているにもかかわらず、そのデータから得られる価値は爆発的には増加していないからだ」と指摘する。

 この課題を解決するのが、「Adaptive Telemetry(アダプティブテレメトリー)」だという。これは、ユーザーが送信するデータの量に対してではなく、ユーザーが使用するデータのみ請求する。これにより、多くのユーザーはオブザーバビリティの請求額を削減し、コストと価値をより適切に一致させることができるという。

 AIに関する取り組みでは、エージェント型AI「Grafana Assistant」をGrafana Cloudに組み込んでいる。同アシスタントでは、自然言語でのやりとりを可能にし、Grafanaの利用方法やダッシュボードの構築、インシデント/障害、トラブルシューティングなどを支援する。

日本のオブザーバビリティ市場への参入

 次に、Schwabecher氏が日本における販売とサポート戦略について説明した。Gartnerの調査によると、グローバルのオブザーバビリティ市場は、2024年時点で1.4兆円、2028年には2.1兆円に成長すると予測されている。富士キメラ総研によると、日本のオブザーバビリティ市場は、2024年時点で946億円、2028年には1138億円に成長するとしている。

 日本市場へのコミットメントと投資として、Amazon Web Services(AWS)の東京リージョンでGrafana Cloudを提供する。そして、日本国内に新しいチームを採用し、日本語対応のポストセールスおよびカスタマーサポート体制を構築。また、2026年初頭には東京に「Grafana Executive Briefing Center」を開設する。同施設では、Grafana Labsの最新テクノロジーを体験できるという。

 加賀美氏は日本市場への参入について、同社を「オブザーバビリティの新時代の黒船である」と捉え、「当社は、グローバルで既に始まっているAIを使ったパラダイムシフトを起こしたい」と強調する。

 具体的には、ベンダーロックインを避けた、オープンなAIを活用した新しい運用環境を日本に導入するという。ログ、メトリクス、トレース、プロファイルなど、あらゆるデータソースに対応した可視化機能を備え、パフォーマンステストやオンコール対応も含めたオールインワンのリージョンフリーなプラットフォームを提供する。そして、柔軟なライセンス形態とデータ自動最適化によって、コストマネジメントと利便性を両立する。

 これらを実現するために、Grafanaを日本仕様にし、日本のユーザーが使いやすい環境を構築するという。同氏は、「お客さま、パートナーの三位一体で、日本のオブザーバビリティの未来を切り開きたい」と日本法人としての展望を述べた。

日本法人設立を祝う鏡開きが行われた
日本法人設立を祝う鏡開きが行われた

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