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国産OSS「Hinemos」20年の答え合わせ--統合運用管理ツールの進化とこれから

石田仁志

2025-10-14 07:00

国の公募事業で誕生し、重要システムの運用を担うプロダクトに成長

 国産オープンソースソフトウェア(OSS)の先駆けとして知られる統合運用管理ソフトウェア「Hinemos(ひねもす)」が、2025年に初版リリースから20年を迎えた。Hinemosは、国の公募事業をきっかけに誕生し、国内の運用環境に合わせて機能を拡充しながら、長年にわたり運用管理分野で定番ツールの一つとしての地位を築いてきた。今回は、Hinemosの企画・開発に初期から関わってきたメンバーと、現在の開発リーダーに、これまでの歩みと今後の展望について話を聞いた。

 Hinemosは、情報処理推進機構(IPA)が推進していた「オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業」のプロジェクトを通じて公開された、企業主導型開発のOSSである。NTTデータが公募に応募して開発を行い、現在はNTTデータ先端技術がプロダクトのオーナーとして開発を継承し、保守サポート付きのサブスクリプションサービスを提供している。

 導入実績としては、官公庁や公共機関、大手金融機関をはじめ、NTTデータが提供する決済プラットフォーム「CAFIS」やデータセンターサービスなど、企業から社会インフラまで幅広い重要システムで採用されている。OSSとしての総ダウンロード数は90万件を超え、NTTデータ先端技術がサブスクリプション契約を結んでいるシステムだけでも、導入数は1100件以上にのぼる。

 Hinemosが誕生した当時、エンタープライズシステムのハードウェアは、特定ベンダーの技術に依存した汎用(はんよう)機からオープン系サーバーへの移行が進んでいた。一方で、ミドルウェアを含むソフトウェアの多くは商用のクローズドソース製品で占められており、特定企業による寡占が懸念されていた。そうした状況への対抗策として、徐々にOSSがサーバー周辺を中心に利用されるようになり、国内でもOSSのブームが到来した。

 また、当時の日本では、ソフトウェアの定番製品の多くが海外製であり、国産ソフトウェアの育成が求められていた。国もその流れを受けてOSSに注目し、開発予算を付けるなど支援を行っていた。

 このような背景の中、国内有数のシステムインテグレーターであるNTTデータも独自OSSの開発に乗り出した。開発対象として選ばれたのが「運用管理」領域である。その理由について、Hinemosの企画を担当したNTTデータ先端技術 マネージド&ファシリティサービス事業本部 マネージドサービス事業部 サービスマネジメント担当 担当部長 兼 営業推進部 営業担当 担当部長の大上貴充氏は、日本企業特有のシステム構築・運用スタイルを挙げている。

 「国内のエンタープライズソフトウェア市場は海外製品が主流だったが、運用管理の分野だけは日本の商用製品が強かった。これは、開発と運用が分業され、双方を外部のSIerに委託する日本の運用管理環境に、海外製品が合わなかったためである。OSSの運用管理ツールも存在していたが、開発者が運用も担うことを前提としたグローバル標準の設計で、日本の“オペレーター”には扱いづらいものだった。さらに、日本企業のシステムではバッチ処理が多く、ジョブ制御まで可能なOSSは存在しなかった。そうした課題を踏まえ、GUIベースで扱いやすく、運用と制御を一体化した統合運用管理ツールの開発を目指した」(大上氏)

仮想化、クラウド化の流れにいちはやく対応

 このような戦略的な視点のもとで開発されたHinemosは、着実に主要なプロダクトへと進化を遂げてきた。その歴史を振り返ると、開発初期の「エンタープライズ対応」、2000年代後半からの「仮想化・クラウド化」、2017年以降の「DX・データ活用」、そして最近の「AIドリブン運用」と、大きく4つのフェーズに分けることができる。

Hinemos進化の歴史(提供:NTTデータ先端技術) Hinemos進化の歴史(提供:NTTデータ先端技術)
※クリックすると拡大画像が見られます

 当初は、OSSでエンタープライズシステムを構築することが課題だった時代背景もあり、NTTデータが自社の運用サービスで活用できるレベルの性能を目指して、エンタープライズグレードの実現に向けた開発が進められた。

 その後、サーバーの仮想化が進み、続いてクラウド化の時代が到来した。物理サーバーのリソースを抽象化し、動的にシステムを構築するアーキテクチャーへの変化に対応するため、Hinemosはバージョン3.1で仮想マシン(VM)向けのオプションをいちはやくリリースした。さらに、IaaSの普及とともに「Amazon Web Services(AWS)」が事実上の標準となる中、2012年のバージョン4.0ではクラウド管理機能を強化した。

 「VM対応もクラウド対応も、他の製品と比べて早かった。プラットフォームが変化するタイミングで、いちはやく対応する姿勢は今も大切にしている」と、大上氏は語る。

 Hinemosの開発が始まった頃に新入社員としてNTTデータに入社し、以来導入ビジネスに携わってきたマネージドサービス事業部 サービスマネジメント担当 担当課長の内山勇作氏は、特にこの時期の変化が印象的だったと振り返る。

 「当初はオンプレミス環境への導入が中心だったが、やがて仮想化基盤やパブリッククラウドへと移行し、それに伴って必要とされるノウハウやスキルも変化していった。監視のスタイルも、個々の機器を直接監視する方法から、ハイパーバイザーやクラウドの監視サービスと連携してデータを取得する方式へと進化した。Hinemosは、そうした技術的な変化にしっかり対応できるよう成長してきたと感じている」(内山氏)

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