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二項動態のDX

経営にアジャイル実装済みの米国、日本の後れ深刻に──市谷聡啓氏が紐解く『DX白書2021』

関連資料を読み解く:「DX白書2021」

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 IPA(情報処理推進機構)が2021年10月11日に発行した『DX白書2021』。そこには日本企業におけるDX推進の現状と、DX先進国である米国との格差を表す深刻なデータの数々が示されている。格差の要因となっている組織の体質や文化とはなにか。また、日本企業においてホットな課題となっている、横断的な“部門間連携”を実現するための組織づくりとはどのようなものか。Biz/Zine編集長 栗原が、372ページに及ぶDX白書の中から特に着目するべきポイントや備えておくべきマインドなどについて、日本企業のDX支援などに取り組む株式会社レッドジャーニーの代表であり、リコーでDXエグゼクティブなども務める市谷 聡啓氏に話を伺った。 (※本文中の図版の出典は『DX白書2021』から)

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IT部門でアジャイルが浸透しない日本と、全社で実装済みの米国

──10月11日に発行された『DX白書2021』ですが、日本や米国のDX推進状況をはじめ様々な事実や課題が浮き彫りになったと思います。372ページに及ぶ資料の中で、最初に着目すべき点はどこでしょうか?

市谷 聡啓氏(以下、敬称略):まず着目すべき点は、「アジャイルの原則とアプローチを組織に取り入れているかどうか」だと考えています。なぜなら、大企業を中心とした多くの企業がDXの先に“新たな顧客体験や価値の創出”という目標を掲げていると思うのですが、これを実現するには、不確実性が高く、急速に変化するニーズへ柔軟に対応できる体制を構築する必要があるからです。

【図表12-3】アジャイルの原則とアプローチを取り入れているか【画像クリックで拡大】
【図表12-3】アジャイルの原則とアプローチを取り入れているか
[画像クリックで拡大]

 元々、アジャイルという概念は日本の製品開発工程の研究の中で誕生し、その後IT開発の現場などへ新たなアプローチ方法として広まっていったものです。実際、“アジャイル”と聞くとIT開発の話だと思う人も多いかもしれません。しかし、そのIT部門ですらアジャイルの原則とアプローチを取り入れている企業が日本には約33%しか存在しないことが、今回明らかとなりました。一方、米国では既に80%以上の企業が、アジャイルをIT部門で適用しています。

──IT部門ですら、ここまで日米差が開いているというのは意外でした。日本でも、開発の現場を中心にアジャイルの必要性が何年も前から囁かれており、近年では実際に組織へ適用している例も多く耳にするので、もう少し格差の縮まった結果になると予想していたのですが……。

市谷:本調査の対象には中堅、中小規模の企業も多く含んでいますから、大企業のみを対象とした調査であれば、もう少し日本でのアジャイル実装率も高い結果となるでしょう。しかし、それは米国も同様です。「これからの時代、アジャイルの実装は必須事項」という共通の認識は日本でも浸透してきているはずですが、それでもなお、すさまじい格差が開いています。ただ、真に着目すべき点は、米国では経営企画部門、および事業部門でも、既に70%以上の企業がアジャイルの原則に則った組織運営を実践しているという事実でしょう。

 そもそも、なぜIT部門以外でのアジャイルの浸透をここまで重要視しているのか。それは、DXそのものが開発、IT部門だけでなく、事業部門などを巻き込んで全社的に推進していくものだからです。データ利活用の基盤構築など、専門的な領域は情報システム部門などが担うことになりますが、最終的にそれを既存事業に活用したり、新規事業の創出につなげたりするのは事業部門ですからね。

 ところが、各部門がどのように協業していけばよいのか。また、意思決定は誰が担い、プランニングは各部門がどこまで行えばいいのか、などといった問題を解決しないままDXに取り組んだとしても、組織が迷走状態に陥ってしまうことは容易に想像できるでしょう。多くの日本企業が、この障壁に頭を悩ませているように感じます。

 事業部門の中でも、新たな体制や仮説検証の導入に積極的な人もいれば、昔ながらのプランニングやマネジメントしか知らない人だっています。多種多様な考えを持つ人たちが横断的にプロジェクトに取り組めば、必ずどこかでギャップが生じるでしょう。アジャイルの原則を事業部門へ実装することは、こうしたギャップを克服する手段となるわけです。共通の目標を追いかけ、プロジェクトを進めていく中で得た学びや直面した課題を基に次の意識、方向性を柔軟に変化させることができる組織が、DXを最もスムーズに進めていけるのではないでしょうか。

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“週一”で組織・戦略の見直しが実施される米国企業

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名須川 楓太(Biz/Zine編集部)(ナスカワ フウタ)

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